JDDM73より日本人2型糖尿病の寛解要因が示されました(Diabetes Obes Metab. 2023; 1-9) 。

糖尿病と診断した患者さんより、この病気は治りますかとよく聞かれます。
欧米では1%程度の割合で2型糖尿病が治る(寛解する)ことが知られていましたが、日本人でのデータは現在までありませんでした。
今回、18歳以上の48,320人2型糖尿病を対象とした日本のレジストリ研究で2型糖尿病寛解の要因が明らかとなりました。
研究で定義された寛解とは血糖降下薬中止後3ヶ月以上HbA1cが6.5%未満を維持できた場合です。
本研究の結果1000人当たり10.5人(約1%)が寛解し、その要因は治療開始時内服無しである事、1年間で10%以上のBMI低下があった事、その他男性である事、糖尿病歴が短い事(診断後1年以内)、治療開始時のHbA1cが低い事(6.5から6.9%)、治療開始時のBMIが高い事(BMI25以上)などです。
治療開始時のBMIが高い方が寛解しやすいという結果は、欧米人での研究結果とは異なる点です。
日本人2型糖尿病の特徴はインスリン抵抗性よりも痩せ型の方でのインスリン分泌低下が特徴であり、痩せ型の糖尿病については寛解率が低いようです。
特に男性肥満は内臓脂肪が多いため、体重減少により内臓脂肪が減少することでインスリン抵抗性の改善が寛解に大きく関与していると考えられます。
また1年間の減量幅が5%以上の人では、寛解後に再発する傾向が低く逆に、体重が増加した人では再発が起こりやすい傾向が示されました。
2型糖尿病の寛解(リミッション)とは、血糖値が正常範囲に戻り、糖尿病関連の症状が改善される状態を指します。
寛解するためには、特にBMI25以上の方では体重減量が非常に重要な因子となりますので以下の事を重視してください。

体重管理:
適切な体重管理が非常に重要です。
肥満は2型糖尿病のリスク要因であり、体重を減らすことでインスリン抵抗性が減少し脂肪肝が改善することで血糖コントロールが改善されます。
体重減少は食事制限、適度な運動、必要に応じて医師の指導のもとでの減量薬物などの組み合わせで達成されます。

食事制限:
健康的な食事習慣を確立することが重要です。
低GI(グリセミック・インデックス)の食品、低脂肪、低糖質の食事を摂ることが推奨されます。
食事制限は個々の状況に応じて異なりますので、管理栄養士など専門家の指導を受けることが望ましいです。

適度な運動:
適度な運動は体重管理と血糖管理に役立ちます。
定期的な有酸素運動(ウォーキング、ジョギング、水泳など)や筋力トレーニングは血糖値を下げる効果があります。
ただし、運動を行う前に医師と相談することをおすすめします。

薬物療法:
2型糖尿病の場合、薬物療法が必要な場合があります。
一部の人々は、体重管理、食事制限、運動によって十分な血糖コントロールが達成できるかもしれませんが、他の人々は薬物治療が必要となる場合があります。
ただし、寛解状態に到達した後も、医師の指導のもとで定期的に薬物治療を継続する必要がある場合があります。

定期的なモニタリングとフォローアップ:
寛解状態に到達した場合でも、定期的な血液検査や医師のフォローアップが必要です。




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