一昨年11月、私は家内とともに標高1574mの高千穂峰に登山しました。
小学校以来2回目の登山でしたが、息切れや疲労を感じることもなく、無理なく登頂することができました。
一方で家内は、同じ健常人でありながら息切れが強く、ついてくるのがやっとという状況でした。このような体力差はどこから生じるのでしょうか。

その大きな要因の一つが「最大酸素摂取量(VO₂max)」です。
VO₂maxとは、運動中に体内で利用できる酸素の最大量を示す指標であり、心肺機能や全身の持久力を総合的に反映します。
この値は心臓のポンプ機能と筋肉での酸素利用効率によって決まり(Fickの原理)、いわば「体のエンジン性能」を示すものです。
VO₂maxが高いほど、同じ運動でも息切れしにくく、余裕をもって活動することができます。

一般的に60代男性のVO₂maxは25〜30 mL/kg/min程度が平均とされますが、35を超えると良好、40に近づくと優秀と評価されます。
私の現在のVO₂maxは38.2であり、同年代の中では高い水準に位置しています。
この背景には、週1回15km程度のランニングを継続し、さらに年2回のフルマラソンに参加している運動習慣があります。
こうした継続的な有酸素運動により、心肺機能や筋肉の酸素利用能力が維持されていると考えられます。

VO₂maxは加齢とともに低下することが知られており、一般には30歳以降、年間約1%ずつ低下するとされています。
しかし、運動を継続することでその低下を抑えることが可能であり、運動習慣の有無によって同年代でも大きな差が生じます。
今回の登山で感じた体力差も、まさにこの違いが反映されたものといえるでしょう。

なお、持久力はVO₂maxだけで決まるわけではなく、筋力や運動効率、乳酸閾値なども関与しますが、VO₂maxは健康状態や将来の心血管リスクを評価する上でも重要な指標です。
実際に、この値が高いほど死亡リスクが低いことも報告されています。

日常生活の中で息切れを感じにくく、活動的な生活を維持するためには、無理のない範囲での有酸素運動を継続することが重要です。
VO₂maxは特別なアスリートだけの指標ではなく、私たち一人ひとりの健康状態を映し出す「もう一つのバイタルサイン」といえるでしょう。








ウェブ問診
ウェブ予約